7つの「人生の危機」を乗り越える考え方
公認心理師監修|30〜50代女性のための心の教科書
30代、40代、50代。この年齢の女性たちは、人生で最も多くの「役割」を同時にこなしている世代です。仕事では中堅として後輩を育て、家庭では子育てや家事を担い、親の介護が始まる人もいる。パートナーとの関係、ママ友との付き合い、自分自身の体の変化——すべてが同時に押し寄せてくる。
そんな日々の中で、ふとこんな気持ちになったことはありませんか?
「私の人生、これでよかったのかな」
「このまま年を取っていくのが怖い」
「頑張っているのに、なぜこんなに苦しいんだろう」
もし一つでも心当たりがあるなら、この本はあなたのために書きました。
この本では、人生で誰もが直面する「7つの危機」を取り上げます。それぞれの危機に対して、心理学が見つけてきた「考え方」と「具体的な処方箋」をお伝えします。
大切なのは、危機は「壊れること」ではなく、「変わるチャンス」だということ。 心理学は、その変化を味方につけるための道具です。
——「私は何者なのか」がわからなくなるとき
ミホさんは、ずっと「理想の自分」に向かって走り続けてきました。学生時代は成績優秀。大学卒業後は大手企業に就職し、28歳で結婚、30歳で長男を出産。2年の育休を経て職場復帰し、時短勤務をしながらも昇進試験に合格。PTA役員も引き受け、義実家との関係も良好。
——履歴書に書けば、「よくやっている女性」の見本のような人生です。
ところが45歳のある夜、夫と息子が寝静まった後、リビングでぼんやりテレビを見ていたとき、ミホさんの頭にこんな考えが浮かびました。
「……これ、誰の人生だっけ?」
全部、「自分で決めた」はずなのに、どれも「自分で選んだ」気がしない。ミホさんはその夜から、鏡を見るのが怖くなりました。鏡に映る自分が、「知らない人」に見えるのです。
心理学者のユングは、人生を「太陽の運行」に例えました。
40歳前後で太陽は「正午」を迎え、外側から内側への転換が始まる
人生の前半(〜40歳頃)は「昇る太陽」の時期。社会的な役割を獲得し、外側の世界を充実させていく時期です。しかし40歳前後で太陽は「正午」を迎え、ここから先は外側の成功だけでは満たされなくなり、「自分の内側」に目が向き始めます。
エリクソンの発達心理学でも、40〜65歳は「生殖性(ジェネラティビティ)対 停滞」という課題に直面する時期とされています。この課題にうまく向き合えないと、「自分はこれでよかったのか」という焦りや空虚感に襲われるのです。
カウンセラーに言われたのは、意外な言葉でした。「ミホさん、"迷子になれた"ことが、すごく大事なんです」
「人生の前半は、"正解"を追いかけることで成功できます。でも人生の後半は、"正解"がなくなる。だからこそ、"自分の答え"を探す旅が始まるんです」
紙を3つのエリアに分けて書き出します。
A:かつてやりたかったけど、諦めたこと
B:今の生活で「これだけは好き」と感じる瞬間
C:「こういう人になりたくない」と思う人の特徴
AとBには"本当のあなた"のヒントがあり、Cは"本当のあなた"の価値観を教えてくれます。
毎晩、寝る前に心の中でこう宣言する。「今日の"お母さん"の私、お疲れさま。"会社員"の私、お疲れさま。今から寝るまでの時間は、"ただのミホ"の時間です」
社会的役割は外側の層。本当の自分は一番内側にいる。
ペルソナは必要なもの。問題は「ペルソナ=自分」と思い込むこと。
仮面の下の自分に会う時間を持つことが大切。
ユングは人生後半の最大の課題を「個性化(individuation)」と呼びました。社会的な仮面を超えて、抑圧してきた「影(シャドウ)」と統合し、「本当の自分」になっていくプロセスです。
アイデンティティの揺らぎは「崩壊」ではなく「再構築の始まり」。40代で自分がわからなくなるのは、壊れているのではなく、生まれ変わろうとしているのです。
第2章以降の全7章(第2章〜第7章)をご覧いただけます
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