自己肯定感

自己肯定感を高める思考パターンの変え方

公認心理師・臨床心理士である「なかなか」が監修読了時間:14分

はじめに

「私なんて、どうせダメだ」

「また失敗した。やっぱり私には無理なんだ」

「周りの人はみんな優秀なのに、私だけ…」

こんな風に、自分を責めてしまうこと、ありませんか?

実は、自己肯定感の低さは「性格」や「能力」の問題ではありません。

違いは、「思考パターン」にあります。

この記事では、28歳のミサキさんの体験を通して、自己肯定感を高める「思考パターンの変え方」を解説します。

第1章 ミサキさんが陥っていた「自己否定の思考パターン」

ミサキさんは、広告代理店でデザイナーとして働く28歳の女性です。仕事はそれなりにこなせているのに、いつも自分に自信が持てない。

ある日、上司から「このデザイン、いいね!」と褒められました。でも、ミサキさんの頭の中では…

「たまたまうまくいっただけ。次はきっと失敗する」

実は、ミサキさんは無意識のうちに、「自己否定の思考パターン」に陥っていました。

自己肯定感を下げる3つの思考パターン

① 「全か無か」思考

「完璧にできなければ、失敗だ」「100点じゃなければ、0点と同じ」

→ 結果:小さな成功を認められない。常に自分を責める。

② 「マイナスフィルター」思考

「10個褒められても、1個の批判ばかり気になる」「良いことは偶然、悪いことは自分のせい」

→ 結果:ポジティブな出来事を無視。ネガティブな出来事だけを記憶。

③ 「比較」思考

「あの人と比べて、私は劣っている」「SNSを見ると、みんな幸せそう。私だけが不幸」

→ 結果:他人と比較して、常に自分を下に見る。

ミサキさんは、この3つすべてに当てはまっていました。

そして、これらの思考パターンは、すべて「事実を歪めて解釈している」という共通点があります。

第2章 自己肯定感が高い人の「思考パターン」

では、自己肯定感が高い人は、どんな思考パターンを持っているのでしょうか?

ミサキさんの同僚に、リナさんという女性がいました。リナさんは、失敗しても落ち込まず、いつも前向き。

ミサキさんは最初、「リナさんは才能があるから」と思っていました。

でも、違いました。

自己肯定感が高い人の思考パターン

「事実をありのままに見る」

たったこれだけです。

リナさんは、出来事を「歪めずに、ありのままに見る」ことができていました。

具体的な違いを見てみましょう

場面自己肯定感が低い人(ミサキさん)自己肯定感が高い人(リナさん)
上司に褒められた「たまたまうまくいっただけ。次は失敗する」
→ 成功を認めない
「頑張った甲斐があった!次も頑張ろう」
→ 成功を素直に受け取る
ミスをした「やっぱり私はダメだ。何をやってもうまくいかない」
→ 全てを否定する
「ここは失敗したけど、次は気をつけよう」
→ 失敗を学びに変える
SNSを見た「みんな幸せそう。私だけが不幸だ」
→ 他人と比較して落ち込む
「みんな楽しそうだな。私も今日は楽しいことしよう」
→ 他人の幸せを祝福できる

違いが分かりますか?

ミサキさんは「事実を歪めて、ネガティブに解釈」していました。

一方、リナさんは「事実をありのままに見て、フラットに解釈」していたのです。

第3章 ミサキさんが変わった瞬間

ある日、ミサキさんはカウンセリングで、この「思考パターンの違い」を知りました。

そして、翌日から意識的に「事実をありのままに見る」練習を始めました。

最初の一歩:「でも」を「そして」に変える

翌日、ミサキさんは上司から「今日のプレゼン、良かったよ」と褒められました。

これまでのミサキさんなら、こう考えていました。

以前のミサキさん:「褒められた。でも、たまたまうまくいっただけ」

でも今回は、意識的に言葉を変えました。

新しいミサキさん:「褒められた。そして、準備を頑張った甲斐があった」

たった一言、「でも」を「そして」に変えただけです。

でも、この小さな変化が、ミサキさんの気持ちを大きく変えました。

「事実をありのままに見ると、自分を認められる」

第4章 今日からできる3つの実践ステップ

では、具体的にどうすれば「事実をありのままに見る」ことができるのでしょうか?

ミサキさんが実践した、今日からできる3つのステップをご紹介します。

ステップ1:「でも」を「そして」に変える

ネガティブな言葉を、ニュートラルな言葉に変えましょう。

  • 「褒められた。でもそして、頑張った甲斐があった」
  • 「今日は楽しかった。でもそして、明日も頑張ろう」
  • 「成功した。でもそして、次も挑戦しよう」

→ 「でも」は成功を打ち消す言葉。「そして」は成功を認める言葉

ステップ2:「事実」と「解釈」を分ける

出来事を、事実と解釈に分けて書き出しましょう。

例1:上司に褒められた

事実:「今日のプレゼン、良かったよ」と言われた

歪んだ解釈:「たまたまうまくいっただけ」

ありのままの解釈:「準備を頑張った成果が出た」

例2:ミスをした

事実:資料の数字を1箇所間違えた

歪んだ解釈:「私は何をやってもダメだ」

ありのままの解釈:「次はダブルチェックしよう」

→ 事実と解釈を分けることで、歪みに気づける

ステップ3:「小さな成功」を記録する

毎日、小さな成功を3つ書き出しましょう。

  • 「今日は朝、早起きできた」
  • 「同僚に挨拶できた」
  • 「資料を期限内に提出できた」

→ 小さな成功を認めることで、自己肯定感が少しずつ高まる

ポイント:「事実を歪めない」「小さな成功を認める」「自分に優しくする」

第5章 3ヶ月後のミサキさん

ミサキさんは、この3つのステップを3ヶ月間続けました。

最初は、「でも」を「そして」に変えるだけでも大変でした。何度も「でも」と言いそうになりました。

でも、少しずつ、変化が現れました。

ミサキさんの変化

  • ✓ 上司に褒められたとき、素直に「ありがとうございます」と言えるようになった
  • ✓ ミスをしても、「次は気をつけよう」と前向きに考えられるようになった
  • ✓ SNSを見ても、他人と比較して落ち込まなくなった
  • ✓ 自分の意見を、自信を持って言えるようになった

ある日、ミサキさんは同僚のリナさんに言いました。

ミサキさん:「リナさん、最近気づいたんです。自己肯定感って、才能じゃなくて、思考パターンなんですね」

リナさん:「そうなんです!私も昔は自己肯定感が低かったんですよ。でも、思考パターンを変えたら、人生が変わりました」

ミサキさんは、この会話で確信しました。

「自己肯定感は、誰でも高めることができる」

まとめ

自己肯定感を高めるために大切なのは、「思考パターンを変えること」です。

今日から実践できる3つのステップ

  1. 「でも」を「そして」に変える → ネガティブな言葉をニュートラルに
  2. 「事実」と「解釈」を分ける → 歪んだ解釈に気づく
  3. 「小さな成功」を記録する → 毎日3つ書き出す

自己肯定感は、一朝一夕には高まりません。でも、毎日少しずつ、思考パターンを変えていけば、必ず変化が現れます。

ミサキさんのように、あなたも今日から、小さな一歩を踏み出してみませんか?

あなたの心が、少しでも軽くなりますように。

監修者プロフィール

なかなか

公認心理師・臨床心理士。30〜50代女性のための心の処方箋を専門とする。職場の人間関係、夫婦関係、自己肯定感の低さに悩む女性たちに、心理学ベースのアプローチでサポートを行っている。